続・脱力日記

描いたり作ったりしてる人のダラダラ日記

雅楽鑑賞

書肆フローラ主催の雅楽公演「悠紀の国に捧ぐ」を楽しんで来ました。

会場はパイプオルガンのあるアトリオン音楽ホール。パイプオルガンの前に並ぶ鞨鼓・太鼓・鉦鼓。こんな絵柄はちょっと珍しいんじゃないでしょうか。


何かの折にチラリと耳にすることはあっても正式な公演をしっかりと見るのは初めて。ポピュラーな「越殿楽」が聞けるのも初心者には嬉しいですし、舞楽「陵王」も楽しみ。さらに今上天皇御即位の時に作られた「悠紀地方風俗歌」も聞けるとのこと。
「悠紀地方風俗歌」は大嘗祭天皇が即位後初めて行う新嘗祭)に使う新穀を収穫する「悠紀の国」に秋田県が選ばれたことから秋田を題材として作られた歌舞で、平成の大嘗祭と大響の儀で奏されたそうです。ただ大嘗祭は一代一度のものなので風俗歌舞も奏されたのはその時のみ。それをこのたび舞はつかないものの秋田で演奏して下さるとのことで、これもとても楽しみでした。


一番最初に「悠紀地方風俗歌」が披露されました。
18分ほどの曲ですがこれがとても良かった。アジアの民族音楽の持つ独特のうねるような音程の変化とそこに時折入る木をうつようなパシーンという笏拍子(しゃくびょうし)の音が心地よく、和琴の聞き慣れない和音も妙に体にしみいります。ゆったりとした抑揚の変化がそのまま体に入って来てそして抜けていくんですね。しかも抜けて行く時に暖かいものをお腹に残していく。これはすごくいいです。民族音楽って基本どこのも好きなんですが、やっぱり東アジアいいです。去年聞いた韓国のも最高だったもんなぁ。


次が管弦で「平調音取」「越殿楽」「陪臚」の三曲
雅楽と言われて思い浮かぶあれですね、あれ。そして気持ちよいあれに身を任せてたら思わずこっくり。眠りを誘いますよね、抵抗のない音なんだもの。


最後が舞楽で「陵王」と「抜頭」
これは目にも耳にも楽しかった。舞い手が登場する時の打楽器のリズムが良くて聞き惚れます。舞が始まると管楽器がだんだんと盛り上がってきてその合奏の良いこと。笙や篳篥の高い音がお互いに絡み合って膨らんで行くのです。楽しい。
舞い手の仮面や衣装は鮮やか華やかでそれだけでも目に麗しいのですが、動きもいいです。ゆったりとどっしりと繰り返し繰り返し、その繰り返しがまた心地よかった。


というわけで大満足の公演でした。
ただ、「陵王」の舞いの方が舞台からはける時に、はけ口がわからず舞台から落ちてしまわれたのがお気の毒でした。あのお面は視界がとても悪そうですから慣れない舞台ではこういうこともあるのでしょう。すぐに舞台に登ってはけていかれましたが、そこそこの高さがありましたからお怪我がないか心配です。