続・脱力日記

描いたり作ったりしてる人のダラダラ日記

私家本「寺山の想い出」

ここしばらくかかりきりになっていた冊子がようやくできあがりました。夫婦で作った7冊目にして最後の本です。


昨年4月に亡くなった夫が最後まで気にかけていた仕事でした。八郎潟干拓前の姿を記録した「潟語り」を3月中に、「寺山の想い出」をお盆までにまとめる。これが本人の望みだったのです。「潟語り」は予定通りに作り上げることができ手に取って喜んでいましたが、「寺山の想い出」までは手が回らず…。ほぼできあがっていた原稿と大枠の構成だけを残して旅立ってしまいました。
以来、ずっと気にかかっていたのですが、諸々の処理や自分の仕事などでなかなか時間が取れず。昨年末、年も押し詰まってからようやく本格的に作業に取り掛かることができました。
それから残された原稿をもとに再取材を重ねイラストを描き写真を撮り、初めて使う編集ソフトInDesignに悪戦苦闘。なんとかかんとか一周忌を前に形にすることができました。
出来上がった本を手に取ったときには肩の荷が降りた安堵感と同時に、これでとうとう最後の二人三脚の仕事が終わってしまったと…。長いこと一緒に仕事をしてきましたので、今はすっかり気が抜けて放心状態です。(さすがにそろそろ気合を入れなおしつつありますが)




「寺山の想い出」は大仙市内小友の寺山にある旧家・佐藤家での昭和初期の暮らしぶりを聞き書きしたものです。当時の当主・佐藤維一郎さんは法隆寺金堂壁画を模写したことで知られる日本画家・鈴木空如さんを尊敬し、経済的に支援した人。その維一郎さんの娘・湯川義子さんの話す想い出話の数々は、今では想像もつかない幻のような話ばかりです。非売品で少部数しかないため多くの方に読んでいただけないのが残念です。